図面を熟読し徹底的に段取りを頭に叩き込んだ職人は、いよいよ行動に移ります。その第一段階が『木取り』です。本来の意味の木取りとは、丸太から板や柱などの“角材”を製材する事を言うみたいですが、うちは家具・木工所ですから当然そこまではやりませんし、できません(機械がない)。
で、ここで言う『木取り』とは、「1台の家具を作るのに使用する、全ての木材を取り揃える事」と考えてください。・・どうです?こう書くと結構ムヅカシク思えるでしょ・・? いや、実際のところ本当に難しいですって。まぁ、正確には『木取り』自体が難しいのではなく、その前の段階の図面を見ながらの段取りが難しいんですけどね。もっと正確に言えば・・段取りも難しいのではなく、「面倒っちぃー」だけなんですけどね。
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親方の松っちゃんが考え込んでいます。彼が今木取っているのは、化粧板(正確には"天然木化粧板")です。即ち表に出してその表情を見せるためのモノですから、ただ闇雲にそのサイズに切って用意すればいいってもんじゃぁありません。木には、目や色と言ったその木自体が持つ独特の表情があります。木目だけで言えば、それを縦使いにするか横使いにするかと言った問題。もちろんそれは設計者が決めるべき事ですが、ここで言うのは材料の取り都合の事です。で、この天然木化粧板なんかは、更にツキ板の接ぎ目の問題がありますから、それら全てを加味した上で、如何に少ない使用量で且つ如何に綺麗に見せるかを考えている訳です。 木取りをする上でこの2つの事柄を達成するために、工場長や社長さんが自らやっている会社もありますし、うちの会社にも先代の頃までは、木取り専門の通称“木取り屋さん”がいました。
それは、一つには芯材(内部に使用する材料と考えてください)として使う木材は、一昔前までツガやマツと言った針葉樹系の所謂ムク材が主流であった事が挙げられます。ムク材ですから当然使いたい太さ・長さにするためには、板材を割き、それを削り、更にそれを切るという、最低でも3工程を経ないとダメな訳で、それを家具を作るべき職人がやっていたのでは非効率的であると。ならばムク材の木取りは“木取り屋”にやってもらい、その間に職人は化粧版の木取りや次の工程の準備をした方が合理的である、と言う事から。
二つ目は、より使用料を節約し、且つ家具がカタチにになった時に綺麗に見せるための、言わば有効的な材料の使い方・取り方をするには、それを専門に考える人がいた方が会社にとって有益であろうと言う考え。例えば1台の家具の木取りをする中にはほんの小さな材料も含まれている訳で、そんなモノを木取るのにいちいち大きな板材を引っ張り出していたのでは、時間もカネも無駄。そこは一発機転を利かせて、ゴミ箱を漁って端材を拾い、タッカー(木工用のホチキス)で繋げてハイ出来あがり!
そういう事ってもちろん職人でも出来るんですけど、やっぱ社長とか工場長とか、木の表情をきちんと活かす取り方が分かる経験を積んでいて、しかもある程度会社の経営に携わる人間の方が、より完璧に出来る訳です。。。まぁそうは言っても、会社によっていろいろな事情がありますしね。こんなご時世ですから、どこの会社さんも「必要最低限の人数で」ってカンジでしょう。
特別な手先の技術は必要ありませんが、知識と経験がものを言う大事な工程です。 |
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